シルバーサポートたんぽぽ苑 介護支援専門員 小林
5年前強烈なインパクトで認知症デビューをはたしたおっきいばぁ(私の祖母)
おっきいばぁが豹変した日の事は、今でも良く憶えている。
開いた口が塞がらないほどの衝撃。
いわゆる怒りボケ。
とにかく朝から晩まで怒りっ放し 昼寝しながらでも身振り手振り付きで怒る始末。
怒りの矛先はやはり嫁である我が母へと向かい、心労がたたり15㎏近くも痩せた時期もある。(我が家ではおばぁダイエットと命名。いつでも貸し出すよぉ、と、宣伝したのに借り手は現れず…)
介護の仕事に携わらせてもらっている私ですが、身内の事となると別。
仕事中は「なりたくてなった病気じゃないんだから…」
と思い、どんな事でも受け止められるのに 何故? どぅして?
1日中同じ話、同じ説明の繰り返しに怒っても仕方がないと思いながらもついつい声を荒げてしまう事もたびたび…
そんな時は決まって、
「おりゃ、はじめて聞くのになんやってそんに怒るのよ!! このたぁけめがぁ!!」
と、おっきいばぁも逆切れ (私の気性の激しいのはおばぁ譲りかも…)
毎日 怒って 後悔して 反省して 明日こそはやさしくするぞと誓って 次の日にはその誓いも何処えやら… を繰り返しこの5年
いつまでこの生活が… と 頭を悩ましていた我が家にも徐々に変化が、
家族みんなに免疫が出来てきたからなのか? 開き直ったからなのか?
一家団欒の夕食時、今日の子供出来事などで盛り上がるように、我が家ではおっきいばぁの話題でもちきりとなる。
(父)「今日は俺の大事な松を鼻歌まじりで切りよってビックリしたわぁ」
(母)「ふごが洗濯機の中に隠してあってもう少しで洗濯しよったさぁ」
(我が娘)「私の事、おりの子やったもんなぁって言うんやよぉ」
ナドナド 本日のおばぁの話題で大盛り上がり。
そしてそんなみんなの話を「おっかしいなぁ 誰やそんな事するやつは」と、笑って聞いてくるおっきいばぁ。
今でも イライラし、怒ってしまう事もあるけれど、気が付けばいつもおっきいばぁの姿を目で追い、探している私。
最近では、「おかぁは、ばぁちゃんのストーカーみたい」と、娘に言われている。
(失礼なっ!ストーカーではなく追っかけです。)
この5年。「忍耐」の二文字が少しだけ身に付いた私。介護者の方の気持ちが良く分かるようになり仕事にも活かせていると思う。これもおばぁのお陰かなぁ… と、今では感謝している。
以前、認知症の家族を介護された方に言われた事がある。
「物を隠したり、泥棒と罵ったり家族に辛く当たる事で家族も精神的にヘトヘトになるだろうけど、3年我慢するとひどい時期は過ぎるよ。」と
そんな馬鹿なっ。 気休め言ってぇ。と、思ったが その言葉を信じて毎日を耐えていたら、本当に3年を過ぎたあたりから少しずつ症状が穏やかになり始めた。(家族も対応に馴れてきたと云う説も…)
これからもおっきいばぁの怪しい行動や言動を家族でネタにして笑い飛ばしながら毎日楽しく生活できたらいいなぁと思う今日この頃です。
職員からのメッセージとして、リレー形式で職員のエッセイを綴っています。次回は、旭ヶ丘デイサービスセンターたんぽぽ苑生活相談員上北の予定です。