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日本語学習会 社会福祉法人神東会法人本部 日本語教師 鈴木

社会福祉法人神東会法人本部 日本語教師 鈴木

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週に一度、技能実習生さんと日本語の学習に取り組んでいます。五人とも日本語で意思疎通できるくらいの力がありますが、より高いスキルを求めて、学習を続けてみえます。

五人から受けた質問の中で印象に残ったものをいくつか紹介します。

 

①入所者さんに「知らん」と言われて、それは「知らない」という意味だと教えてもらいました。動詞に「ん」をつけると「ない」という意味になるのですか。どうしてですか。

←動詞に「ん」が付くのは、元々は「ぬ」という古い「ない」という意味の語が付いていることになります。方言にも近い言葉ですね。いくつか練習してみましょう。 「分かる」→分からん 「食べる」→食べん (一番受けたのは、「来る」→来ん と 「見る」→見ん でした)

 

②(テキストの答え合わせ後に)どうして「タクシーを拾う」と言うのですか。拾えないのに。

←この場合、道路で走っている空車のタクシーを見つけて、止めて、利用する状況を言います。タイミングよく捕まえる感じですね。日本語ではそう言います。タクシー会社に電話してタクシーを利用するときは、「呼ぶ」と言います。

 

③「遠い国から、コロナ禍のなか日本に来て、働いているってすごいねぇ。偉いねぇ」といろんな方からよく言われるのですが、「はい」と答えたら自分が「偉い」ということになります。こんなとき何と答えたらいいですか。

←相手の方は、感心して言ってくださっているのだから、「ありがとうございます」って言えばいいですよ。

 

質問されて、改めて日本語の遣われ方に気づき、実習生さんたちの感覚の鋭さにはっとします。母語以外の言語の修得に向け、真摯に向き合っておられることに感心させられます。

また、学習に使用しているテキストには、日本の世情に関するコラムやエッセイが扱われており、「議論することが苦手な日本人」「婉曲的な表現を好む日本人」の話題では、国際人としての日本人の在り方が問われているようにも感じます。

固く真面目に学びつつも、若い五人とのユーモア溢れるやりとりで爆笑することも多く、いつも元気をもらって楽しませてもらっています。

 

 

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職員からのメッセージとして、リレー形式で職員のエッセイを綴っています。

これまでの職員からのメッセージはコチラ→https://tanpopoen.or.jp/letter/category/message/