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平成24年度早期介護体験実習報告について

平成24年9月17日から21日、24日から28日に行われた、富山大学医学部薬学部による早期介護体験実習報告が届きました。

以下、実習生3名の感想です。

私は、岐阜県飛騨市神岡町にある特別養護老人ホームたんぽぽ苑で実習させていただいた。私の家族に要介護者は未だおらず、この実習が介護の現場の初体験となった。そして、様々なことを考えさせられる介護体験実習となった。

実習は私にとって難しいことの連続であった。利用者の方とのコミュニケーションをとる時間もあったのだが、何を話して良いのか分からないときがおおく、戸惑う場面が多々あった。利用者の話を聴いているということが中心であって、こちらから自分なりにゆっくりと大きな声で話しかけたと思っていても聞き返されるということがあり、コミュニケーションをとることの難しさを実感した。ただ、最初は少し気難しいと感じた方でも、その方の昔の話も聴くことができ、どんな人生を歩んでこられたのかということに触れることもできた。実習中盤でその方に、「明日もよろしく」と言われたときは本当に嬉しかった。利用者の方と話しているときは昔の話を聴く機会が多く、そんな話をしているときの利用者の方は生き生きとしているように感じられた。初めて行った排泄援助でも、少々もたつく場面があり、利用者の方に迷惑をかけてしまっていたかもしれない。食事のときも、配膳の際には目の見えにくい方にはどこに何があるのかを言うことや、すぐに手を出してしまう方にはなるべく遠い位置に食事をおくということも必要であった。

そんな実習を通して私が最も考えさせられたことは、生命の尊厳である。介護の原則として、利用者の自立支援ということが挙げられる。私たちにとってはなんともないようなことであっても、利用者の方にとっては難しいとされることは様々ある。例えば、衣服を着る際にボタンをかけることである。ボタンのついている服を着るときに、なかなかボタンをかけることができなかったり、ボタンをかけ間違えたりされている方がいらっしゃった。それに対して私はどこまで手伝って良いものなのかと迷った。自身でできることはなるべくご自身でやっていただくことにより、利用者の方の意志と力で行動したこととなり、それが自立支援へとつながる。車椅子を押すことでも、どこから自分がやらせていただいても良いかよく分からないときが多かったように感じた。こういったところの線引きがとても難しく感じられた。

また、利用者の方にはそれぞれの歩んできた人生があり、人生の大先輩であるため、敬意をもって接することの意義も感じた。不自由があるからといって利用者の方を弱者と見てしまうのは間違いであり、上から接するような態度をとるのも当然のことながら間違いである。その上で親しみをもって話すということがどれほど大変なものか実感した。もし、子どもと接するようにしていたところをその方のご家族が見たら、どんな思いをするだろうか。決していい気はしないであろう。どんな方であれ、人としての尊厳を持ち、敬意を持って接することが大切だと思った。

この介護体験実習ではほとんどのことが初めてのことであり、戸惑うことがたくさんあった。しかし、そんなときは職員の方に助けて頂いた。そして、職員の方と利用者の方一人一人が綿密なコミュケーションを築いているのが感じられた実習であった。実習をやる前は、正直、気が進まないものであった。しかし、実習では学ばされることが多くあり有意義なものであり、やっておくべきものだと思った。将来医療従事者になるにあたって、必要なこともいくつか経験することもできた。今後日本では高齢化が一層進み、私たちが支えなければならないときがやってくるはずである。そのようなことも含め、様々なことを学んだ介護体験実習であった。

 

私は今回、たんぽぽ苑という施設で五日間お世話になった。たんぽぽ苑があるのは岐阜県飛騨市の神岡という町で近世以降は鉱山の町として栄えてきたが、近年急激な過疎化の進行が大きな問題となっている。それと同時に町の若者も減り高齢者世帯が増加していることも問題となっている。そのような環境の中で介護について様々なことを教えて頂いた。仕事は主に食事介助、排泄介助、入浴介助、移乗、衛生、オリエンテーションなどがあった。食事介助では自力では全く食事ができない方を主に介助させて頂いた。もちろん、自分で食事をされる方もいらっしゃるが、中には誤嚥防止のためにとろみをつけて召し上がる方もいらっしゃり、人によって同じ食事でも様式が全く異なっていた。食事にも四季の変化を楽しんで頂く為に、メニューに旬の物を取り入れたりと工夫がなされていた。このような工夫に利用者さんも大変喜んでおられる様だった。排泄介助では利用者さんが少しでも不快な思いをされない様に、カーテンで囲いを作ったり、清拭は温かいものを用いたりといった工夫がされていた。そうしていてもやはり排泄介助されるというのは気分がいいものではない。その為、利用者さんの中には「汚いのにごめんね。」などとおっしゃる方もいらっしゃり、利用者さんの心身の負担を軽減する難しさを知った。また、感染予防も重要な仕事の一つであった。入浴介助では利用者さんのとても気持ちよさそうにされている様子がとても印象的だった。普段私たちが当たり前ように行っている入浴も、利用者さんの「ありがとう。」や「お風呂に入れてもらって本当にありがたいね。」といった言葉を聞くと、とてもありがたいことなのだと改めて感じた。中には入浴が嫌いな方もいらっしゃり大変なこともあったが、どんな時でも利用者さんの安全に十分配慮することがいかに大切かということを教わった。移乗では様々な種類の車椅子があることにとても驚いた。それと同時に一人一人に様々な症状があるのだと思い、その人にできることとできないことを的確に判断し、生活に取り入れていくことが大切なように感じた。また、利用者さんと実際に接することでも多くのことを学ばせて頂いた。一日目に私が初めてお話したのは、日記を書くのが好きな方だった。その方は私に笑顔でたくさんお話してくださったが、その中でも特に印象的だったお話が二つある。その方はこうおっしゃった。「私ぐらいの年になっても日記を書くのが嫌なほど辛い日もあるの。自分の身体のことが心配になったり、辛くて涙を流す夜もあるし。だけど、頑張ってできるだけ日記を書くということを続けているのよ。」と。さらに私に日記を見せながら「ここに書いてあるのは私の母のこと。母は知識こそあまりなかったけど、私は母を尊敬しているの。」とおっしゃった。さらに別の方は私の体調を気遣って「看護師さんは大変な仕事だものね。あまり頑張り過ぎないで身体を大切にしてね。」と声をかけてくださった。その他にも利用者さんが「あなたのおかげで今日も一日楽しかった。ありがとう。」「私この人好きだわ。」と、声をかけてくださり、たくさんの元気を頂いた。お年寄りは私たちの人生の先輩であるということを実感した。様々なことがあった五日間だったが、中でも人は本当にその人その人によって全てが異なり、それらを理解した上で支援することはとても難しいということを学んだ。それと同時に様々な人と接することが、どれほど大切なことかも分かった。今後は地域医療にも目を向けながら、今回の経験も活かし、自分の目標とする看護師になれるように努力していこうと思う。たんぽぽ苑の皆様、ありがとうございました。

 

今回、岐阜県飛騨市神岡町にあるたんぽぽ苑で実習を行った。ところで、日本全体の高齢化率は23.1%であり、神岡町の高齢化率は37.80%であるため神岡町は非常に高齢化が進んだ地域である。その中で、たんぽぽ苑は隣に飛騨市民病院があり、苑とは密な関係が築かれているため、入居者やその家族、そして職員が安心して生活することができる施設となっている。そのような施設のなかで、私はそれぞれの関係から様々なものを学んだ。まず、苑と病院の関係である。苑と病院は地下通路で繋がっており、入居者にもしものことがあった場合はすぐに病院に運び込むことができるようになっている。そのため、看護師が苑にいない夜の場合でも、介護職員の方は安心して勤務することができている。また、一定の期間で病院の医師が苑に回診にいらっしゃり、苑の看護師と共に入居者を診ることで、看護師に指示を与え入居者の健康を守っている。さらに、苑の中はより密な関係が築かれている。私は、事務員、介護職員、看護師、栄養士の方々の行われている申し送りに参加したが、事務員の方まで参加されているのに驚いた。しかし、事務員の方まで参加されているのが、この苑の入居者と職員の関係性を物語っている。この苑では、入居者の方が職員に親しみを持ち、安心して生活ができるように積極的に地元の方言を使っている。さらに、会話だけでなく手を握ったり抱きしめたりと、すべての職員の方が積極的に入居者の方とスキンシップをとっていた。そして、栄養士の方は、食事の時間になると食堂に現れて、入居者の方と会話をしながらご飯の感想を聞いていた。このように、入居者の方と職員の方の関係は、より密なものであった。また、毎日朝と夕方に行われる申し送りによって、各役割をもった職員の方々が入居者一人ひとりの体調やようすを介護職員の方を中心に報告しあうことで、入居者一人ひとりに気を配っていた。

さらに、少しではあるが苑の看護師の方から仕事についてお聞きすることができた。苑の中では、薬を配ったり、入居者の体調管理のため体温や心拍数を測ったり、排泄援助をしてらっしゃっていた。また、入居者の方々はほとんどが車椅子を利用している方々が多く、中には、寝たきりの方もいる。そのため、体を動かす機会がほとんどなく、手足が動きにくくなるようである。実際に、寝たきりの方は足が非常に小さく筋肉がほとんどない状態だった。そのようなことを防ぐために、軽いリハビリのようなことも看護師の方が行っていらっしゃった。やはり、看護師でも自分が働く職場によって様々なことをしていかなければならないと考えた。そのため、たくさんの知識をつけることは自分の職の幅を広げることになるので、たくさんの知識をつけていこうと思った。

そして、実際に介護を体験して大変な仕事だと実感することができた。入居者の方の中には、何度同じ話をしても理解してもらえない方がいらっしゃった。そのような人を介護することは特別に大変であるし、つねに気を配っていないと何が起こるかわからないからである。それは、看護の現場でも同じで病人がいる看護の現場でも何が起こるかわからない。そのため、看護の仕事の大変さを少しではあるが模擬的に実感することができた。さらに、排泄援助や食事介助を繰り返していく中で、入居者一人ひとりで食事の形態が違ったり、オムツも違いがあったりと各個人にあった福祉を提供していた。これは、看護の現場では介護の現場以上に気をつけなければいけないことであると考える。患者一人ひとりで、病気が違うため食事だけでなく、患者の環境にも気を使っていかなければならない。そのため、一人ひとりに違ったものを提供するということを体験することができてよかった。