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波乱万丈 特別養護老人ホームたんぽぽ苑 調理職員 沖田

特別養護老人ホームたんぽぽ苑 調理職員 沖田

私の生まれは鹿児島県です。(小四まで)

その後岐阜の中学・高校を卒業し、名古屋の専門学校へ。

専門学校卒業後、10月に今の主人と結婚。

結婚4年目の8月に神岡へ来ました。

子供が2歳半と、5ヶ月で大変な時期でしたが、ちょうどその年が56豪雪で、大変な年になりました。

子供が保育園に行くようになった頃、やっと寒さにも慣れましたね。

温暖差がはっきりしている地域なので、四季の変化もあり、春先の雨上がりの新緑のあざやかさには、感動しました。

山菜も豊富です。

主人は、私たち家族のために必死で働いてきました。

結婚25年目にして、我が家を設けることができ、子供も各々巣立ち幸福でした。

そんなある日、突然主人に異変が。

風邪がなかなか直らず長引いてるので、その頃、血圧も高く近くの病院に通っていたので、受診に出かけたところ、

「血液に異常がありますよ。」と言われ、

紹介状を持って市民病院へかけつけたけど専門医がいない為、高山日赤に血液の専門医がみえるからと、一刻を要するため医師との連絡もとり合って頂きそのままかけつけることに。

検査後、医師に呼ばれ夫も一緒に説明を聞きました。

「95%白血病です。」

まさか自分の身に降りかかってくるとは、思っていませんでした。

でも、現実なんだからと、自分に言い聞かせました。

夫は先に入院の為病室に。

私の気持ちが落ち着くまでしばらく婦長さんが付いててくれました。

私はまるで母親にすがる思いでした。涙が止まりませんでした。

でも、主人のいる病室へ行くと、本人の前で気丈でいられる自分が不思議でした。

治療の為の説明を家族や主人の兄妹と聞きました。

感染症を防ぐために、無菌室でつらい治療が始まりました。

夜中長い間高熱が続き、肺炎と診断。「今夜が峠ですね。」と言われ、私は病院で一夜明かすこともありました。

困難や危機を乗り越え半年後、退院。

婦長さんに「半年も無菌室で耐えられる人はいないですよ。気丈な人ですね」と言われました。

医師の話では、白血病は、原因不明の病気で完全完治はありません。退院後1,2,3,6ヶ月後、1,2,30年近くになる頃再発する場合もあるとのこと。

3ヶ月間の自宅療養の診断書が出されました。

外へ出るときのマスク携帯は、日常生活の必需品となっています。

退院後、半年になろうとしている頃、私が仕事から帰宅すると、だるそうに横になっていました。次の日すぐ病院へかけつけたところ、残念ですが白血球が14,000。私も主人もがっくりしました。

一刻を要するため岐阜日赤へ行くよう命じられ岐阜へ。

医師の診断によると、急性リンパ性白血病。「骨髄移植するしかありません。」

主人は、又、つらい治療を受けることに。

入院して、4日間出血が止まらず、この病気の怖さを知りました。

慣れない病院の為、その夜は娘と2人で一夜を明かすことになりましたが、主治医が前回の医師でしたので、安心して任せることが出来ました。

移植の為に、主人の親、兄弟4人に検査に出かけてもらいました。それでも確立は1/4だそうです。

検査の結果、主人の妹が、主人と全ての数値が一致しているとのこと。医師もびっくりされ、まるで主人を助けるために生まれてきたような人ですねと言われました。

ドナーになることを家族の人や妹さんも快く引き受けてもらいました。

移植の為、岐阜大学病院へ転院することになり、妹さんも何回か検査の為、通院してもらいました。私もそのたびに一緒に出かけました。

移植に向けての準備も整い、7/7に決定。当日の立会の為私の兄妹、主人の兄妹14,5人いたかな、移植の瞬間を皆、交代で見届けることが出来ました。

3年間入退院の繰り返しで大変でした。

でも、病名は違っても、各々に病気と闘いながら必死で耐えて、生きようとしている姿は皆一緒です。励ましあってきた仲間、そして家族の絆。兄妹愛。たくさんの人の支え。勇気。私たち家族に与えられたこれまでにない宝です。

主人は、肺に後遺症が残り在宅酸素療養中です。

どんな状況でも、私なりの心のケアをしながら日々の介護に関わっています。

私はたまに、好きなカラオケを歌い、裏の畑で野菜を作り、少しでも多くの人に喜んで食べてもらえることを自分の励みにしています。

ある日、私が息詰まっているときに、中学の同窓会、高校のクラス会に参加するよう声をかけてくれた仲間、38年ぶりに再会することが出来て、本当に良かったと思います。ありがとう。

病人は、これでいいという終止符はありません。

医師と患者との信頼感があって、初めて病気は治せると思います。

医師同士の連係プレーがテキパキとなされていたことに今も感謝しています。

わずかな希望も捨てずに決してあきらめないこと。細く長く病気と付き合っていく。強い精神力も必要かな。

医療制度他すべての事に関して、今、私たち一人ひとりが行動を起こさなければ、何も起こらないと思います。

命の大切さを今一度。


職員からのメッセージとして、リレー形式で職員のエッセイを綴っています。次回は、特別養護老人ホームたんぽぽ苑 調理職員向島の予定です。